10.1
『私』にとって、撫子のことは他人事なんだよ
――だから、撫子は撫子のことを『私』とは言わないの
10.2
10.3
『ひたぎさん……なんて美しいんだ。
正に僕の理想の人だよ。愛してる』。どう、似てた?
10.4
誰であろうと、ひとめ見ればそれとわかるもの―――
だけど探し始めたら見失ってしまうもの。それは。笑顔だよ!
10.5
礼には及ばん。ドーナツには及ぶがの
10.6
ま、いいんじゃないですか?
あんまり複雑に考えなくとも。
今はどうしようもない悩み事に思えても、
百年後には笑い話になってますよ
10.7
ええ、確かに美しいですねえ、阿良々木先輩――
美しくて美しくて卒倒しちゃいそうです。
一番美しいのは、答が0になるってところです。
とは言え、私なんかは、答が0になるんなら、
取り立てて計算しなくてもいいって思いますけれどね
10.8
私は正義の味方じゃないの。悪の敵よ
10.9
誰にでも優しいって、やっぱり無責任だからね
10.10
いくら42.195キロとは言っても、精々百メートルの
十倍くらいだと思ってたんだけどな
10.11
お前にもう会えないんだったら、
人間に戻ったって何の意味もないんだよ!
10.12
そばにいられるだけでいい、とか。好きなだけで満足とか。
そういうのって聞こえはいいけれど、おしとやかみたいで、
つつましいみたいで、なんかいい風だけど、でも、
それってすごく意味の分からないこと言ってると思わない?
10.13
忍野忍、と名付けてみた。刃の下に心あり。
彼女らしい、いい名前だろう?
10.14
そういうわけで、
これからは半径二万キロ以内には近寄らないでね
10.15
男友達に至ってはひとりもいないだろう。
忍野さんもいなくなってしまったし……
これから私は阿良々木先輩と誰との絡みを
妄想すればよいのか、前途は多難だ
10.16
いいえ。僕は神です。故に、僕は敵対するあなた方は
存在すべきではありません。僕は神、つまり僕に誓って
――あなた方の存在を許しません
10.17
言葉遣いが悪い。木っ端微塵にしてさしあげますわと言い
10.18
私より不幸な人なんていっぱいるもの。
日本中にいっぱいいるもの。
世界中にいっぱいいるもの。
新聞にいっぱい載ってるもの
10.19
世界も救って、女の子も救う。
そんな強欲さこそが今時のヒーロー像だろ
10.20
格好いいヒーローの趣味がエロ本の蒐集だったからといって、
誰もが憧れる大和撫子が九九を不得意だったからといって、
彼らのすべてが否定されるはずがなかろう
10.21
お前は善行を積むことで心を満たし、
俺は悪行を積むことで貯金通帳を満たす。
そこにどれほどの違いがある?
10.22
そんなつれないことを言わず、阿良々木先輩、
お願いだ。「この卑しいペットが!」と言ってくれ。
試しに一回だけでいいんだ。そうすれば
きっとわかってくれるはずなんだ
10.23
文房具で阿良々木くんを刺していいのは私だけ
――いくらそのキャラを捨てたと言っても
再利用されるのは我慢ならない
10.24
ええ。でも僕は帰宅部のエースですよ。
三日に一回、早退します
10.25
お前と次に会う場所は法廷だな!
10.26
大好きでしたよ、阿良々木さん
10.27
ご主人も泣けばよかったんだよにゃあ――
悲しかったんだから。寂しかったんだから。
悔しかったんだから
10.28
人をなんだと思ってんだ――人形か何かか!?
はっ……どうせ俺様は可愛いだけだよ、
何を言われたって言われるがままだよ!
だけど、だからって何も感じてねーわけじゃねえぞ!
おとなしい奴が、本当におとなしいと思ってんな!
10.29
ケーキがなければ諦めてパンを食べる。
それが儂じゃ
10.30
あいつのことがたまらなく好きだけれど
――でも、この気持ちは恋じゃあないな。
だって僕は、羽川のために死にたいって
思ってるんだもん
10.31
黙れ。あれは僕の黒歴史……
僕は二度とキメ顔なんてしない……